考察:創世神話とアルストの成り立ち
アルストに伝わる創世神話と、実際のアルストの成り立ちについて見比べてみる。
(以下、ゼノブレイド2 公式サイトより引用)
見渡す限りの白ーー
天空にそびえ立つ「世界樹」を中心に広がる雲の海。
それが、俺達の暮らす世界「アルスト」だ。
この世界ができる遥かな昔、
人は世界樹の上に住む創世の「神」と
共に暮らしていたという。
天空に築かれた豊穣の大地。
昼を夜に、雨を晴れにすることもできる理想郷。
人はそこを「楽園」と呼んでいた。
だけどある日、人は楽園を追われた。
理由はわからない。
神の怒りに触れたのか、それとも別の何かなのかーー
楽園を追われた人々はアルストに移り住んだけれど、長く生きることはできなかった。
人が滅亡に瀕した時、
憐れに思った神は自らの僕ー
「巨神獣」をアルストに遣わし、人を救った。
僅かに生き残った人は巨神獣へと移り住み、幾万の昼と夜を共に過ごした。
その巨神獣が今、死に絶えようとしている。
そして「楽園」を探す旅が始まるーー
(引用ここまで)
引用元: https://www.nintendo.co.jp/switch/adena/sp/story/index.html
ここでキーワードをいくつか読み替えてみる。
・創世神話の「楽園」=モルスの地。壊れる前の地上。
・楽園を追われた=モルスを破壊してしまった旧人類は天上の楽園「ラダマンティス」に移動した
・創世神話の「アルスト」=現在のアルストにおいて楽園とされる「ラダマンティス」
・長く生きることはできなかった=楽園での生活は反政府などの要因ですぐに滅亡の危機へ。またクラウスが行った相転移実験で多くの人とものが彼方の時空へ消えた。
・哀れに思った神は巨神獣を遣わした=自分の罪を償おうとしたクラウスは巨神獣を生み出した
(以下、差し替え。『』が差し替え、()内が元の言葉。)
『アルスト』(この世界)ができる遥か昔、人(神)は『モルスの地』(楽園)で暮らしていた。
『地上』(天空)に築かれた豊穣の大地。
昼を夜に、雨を晴れにすることもできる理想郷。
人はそこを「楽園」と呼んでいた。
だけどある日、人は楽園を追われた。
理由は『科学技術の発展。雲海の下の大地を破壊してしまった。』(わからない。神の怒りに触れたのか、それとも別の何かなのかーー)
『モルスの地』(楽園)を追われた人々は『楽園・ラダマンティス』(アルスト)に移り住んだけれど、『楽園での生活は反政府などの要因ですぐに再び滅亡の危機に瀕した』(長く生きることはできなかった)。
『そしてクラウスが行った相転移実験で多くの人とものが彼方の時空へ消えた後』(人が滅亡の危機に瀕した時)、『己の罪を悔いたクラウスは』(憐れに思った神は)『罪滅ぼしの為に雲海とコアクリスタルを用いて世界再生計画を立て、巨神獣を生み出した』(巨神獣を遣わし、人々を救った)。
『そして巨神獣から新たな人類が生まれ』(僅かに生き残った人は巨神獣へと移り住み)、幾万の昼と夜を共に過ごした。
この創世神話と実際の歴史の流れが似通っているところ、そして「楽園」の位置がずれているところ、そしてその壊れてしまった旧人類の楽園(地上、モルスの地)がエンディングで楽園へと再生を果たすところに面白みを感じるのだが、いかがだろうか。
「こんな所にあった」楽園。すなわち、今までそうだと信じられていた「天上に築かれていたもの」ではなく、今まで気づいてもいなかった遠い過去の大地が「楽園になった」 。最後の最後にクラウスは地上を再生させた。同じものではないが、巨神獣を使って楽園を築いたのだ。
地上こそが楽園、楽園へと再生を果たした地上。そしてそこで生きていく新しい人々。このとても美しい終わりが、私はとても好きだ。