【ゼノブレイド2 黄金の国イーラ】 感想などまとめ
配信開始から1週間が経ち、考えが多少まとまってきたので一つ。
後々各キャラクターなどの別個の記事が作れたらいいのだが、ひとまずはこちらに。
過去記事の修正もしたい。
・ドライバーがブレイドの武器を使用する戦法について
ドライバー&ブレイド戦法を編み出したのはシンとラウラ。
理由はラウラが「武器を買うお金がなかったから」というものだが、その後アデルやユーゴ達からその有用性が広まり、500年後には一般的な戦法となった。
・アデルについて
イーラの王位継承権第4位の王子。非常に人望が厚く、それ故に疎んじられた彼は辺境の地アレッタへと追いやられ、そこで領主をしている。屋敷には身重の妻がおり、もうすぐ子供が誕生する予定となっていた。
ヒカリと同調したのは作中の一年前(神暦3563年頃)。彼は最初から天の聖杯であるヒカリの力に恐れを抱いていた。
ミルトと出会ったのは3年程前(3561年)。
ヒカリと出会う前は一人で無人の巨神獣を旅して回っていた「放蕩王子」。
大剣使いで、キズナリングの構成もジークと似たものとなっている。
アデルは当時のイーラ王の一人息子だが、正室の子ではない。イーラ王はとある遠征先で見初めた農民の娘を妾とし、そして誕生したのがアデルである。どの国、巨神獣だったのかは不明だが、彼がイーラ人でありながら金の瞳を持っていることから、少なくとも母はイーラではない巨神獣の民だったと分かる。
その為アデルは元々別の場所で暮らしていたが、イーラ王は他に子を為すことは叶わなかった為、やむなくアデルを本国へと召還した。イーラ王はアデルに自由を与えることができなかったことを悔やんでいる。
アデルに兄弟はいないようなので、王位継承権3位の人物もゼッタ同様イーラ王の弟なのではないかと思われる。
アレッタの抵抗軍は万が一の時にはアレッタの民を連れてリベラリタスに避難する計画を立てていたと見られる描写がある。
セイリュウも「有事の際にはアレッタの民を任せろ」と発言していることから、アレッタにいたイーラの民と抵抗軍の一部はリベラリタスへと移住したと推測される。
彼の妻が抵抗軍やセイリュウによって無事にリベラリタスに連れ出されていたなら、彼の子孫がリベラリタスで生き続けた可能性もある。
なおエンディングでのアデルの発言より、抵抗軍はリベラリタスだけでなくスペランザと呼ばれる地にも避難をしていたようである。しかしそちらに避難をした抵抗軍は天の聖杯とイーラの残党を殲滅しようとしたアーケディア法王庁(マルベーニ)によって壊滅しており、リベラリタスに向かうことなく散っていったと思われる。
戦後ラウラ達とグーラの地で別れたアデルは、イーラ王家の霊洞があるリベラリタスに第三の剣を封印しに向かう。このことからエルピス霊洞はアデルが造ったものではなく、もっと古くから存在していたと思われる。また建造にかなりの人員を要したであろうと本編でも推察されていることも考慮すると、イーラが壊滅した直後でもある大戦後にアデルがこの霊洞を造ったとは考えがたい。アデルのもつ炎を模した紋章が英霊の間にあしらわれているのは、紋章は元々「英雄アデル」を指す印ではなく、「アレッタ領主」や「イーラの血族」を表すものだったからではないかと推測される。
また、霊洞の近くにイヤサキ村を興したのは、アデルやイーラの所縁の者が霊洞の管理をする為だったのかもしれない。
・サタヒコについて
エスタムという場所からポルタ村へと売られてきた少年。
サタヒコの目の色は一般的なイーラ人の「碧眼(作中では青緑)」ではなく青。サタヒコが売られてきたという「エスタム」は、イーラではない別の国なのかもしれない。
手先が器用で、巨神獣船などに興味を持つ。彼が本編でマルサネスやモノケロスの操縦を行なっているのは、巨神獣船や機械技術への興味から知識を持っていた為と思われる。
エンディングでの描写からして、サタヒコは戦後にブレイドイーターの実験をさせられたものと推測される。残党狩りでラウラとはぐれたもののまたしても生き残り、それをアーケディアに捕らえられて実験体にされた。
そして化け物にならず、処分でも死なずに生き延び(恐らくブレイドイーターとして「成功」した為)そして再びシンと出会ったものと思われる。
しかし、どのような過程で再びシンの元にたどり着いたのかは不明である。
・ヒカリについて
アデルの従者であるミルトの話から推測するに、ヒカリが天の聖杯のブレイドとしてアルストに顕現したのは、DLCの3564年より一年前、3563年と思われる。
ヒカリの「世界の成り立ちにも行く末にも興味ない」という考えは、アデルが「権力や為政に興味がない、のんびり隠遁して暮らしたい」という思いを持っていたことに影響を受けているのかもしれない。
作中の最初では己の力のみを過信し、他者との協力には消極的であった。
彼女は自分の持つ力に自信を持ってはいたが、その力がもたらす先を認識できていなかった。彼女なりに制御を試みている節も見られるが、それでもまだ足りていなかった。そしてアデルが彼女に恐れを抱いていたこと、守る為に置いてきたミルト達のいる王都がメツによって攻撃されたこと、この三点が重なり、ヒカリは最終戦で自身の力を制御することができず暴走させてしまったのだと思われる。この時アイオーンの姿が見えるので、ゲートへの接続が行われ「かけた」可能性がある。しかしドライバーであるアデルがその力に耐えられなかったため、停止していたゲートは開くには至らなかった。
また彼女がホムラを生み出したのは、ミルトの死とサタヒコからの拒絶が原因である。旅の過程で心情に変化が起きていたヒカリはイーラの民、ひいてはサタヒコやミルトを守りたいと考えるようになっていた。しかしイーラは壊滅して沈み、守りたかったはずのミルトが命を落としたことに深く傷つき、結果己の力に絶望を抱いてホムラという存在を生み出した……と考えられる。
シンはヒカリに「今ではない未来、お前の絆はそこにある」と告げた。アデルではない誰かがヒカリと強い絆を結ぶことを、何とはなしに予想していたのである。そしてヒカリは最終盤の戦いの最中、遠い未来に出会うレックスの姿を未来視する。
・ラウラ、シンについて
ラウラは傭兵として暮らしていた女性。年齢は27歳。10歳の時に「イーラの秘宝」であるシンと同調し、以降素性を隠しながらも彼と共に生きてきた。シンの仮面は彼の正体を隠す為にラウラが彼に贈った、手作りの品である。
ブレイドの武器をドライバーが使用する戦法を生み出したのは彼女とシンである。
彼女の母の名前はラネア。母ラネアはイーラから流れてグーラのトリゴ村に身を寄せていたが、足取りを追ったラウラ達がトリゴへとたどり着く前に敗残兵もしくは野盗によって命を落としたようだ。近隣の子供たちにも良い存在と思われていたと見られる描写がある。また、ラウラが子供の頃にプレゼントしたチャームを大切にしていたらしい。
一般的なイーラ人は碧眼であるが、ラウラは金色の瞳を持っている。ラウラの父(もしくは母)はイーラ人ではなかったのかもしれない。
ハイベル村出身で、騎士の称号を持っていた人物がいたという。恐らくそれがオルネラではないかと推測される。
つまり平民出身の女性でありながら騎士の称号を得たシン(イーラの秘宝)のドライバーは、ラウラとオルネラの二人いたということになる。
ブレイドは前の生の記憶を持ち得ないが、シンは前ドライバーのオルネラと過ごしたハイベル村に訪れた際、懐かしさを感じる。
シンとセイリュウが会うのは80年振り。長い間、イーラの秘宝と同調できたものはいなかったようだ。シンとラウラが同調したのは17年前であるため、少なくとも60年ほどの間、シンのコア(イーラの秘宝)は宝物庫に収められていたものと思われる。
ラウラは戦後、戦災孤児たちの為の家を作ろうと考えていた。それは叶わず彼女は命を落とす。シンがマンイーター達に手を差し伸べていたのは、彼女が思い描いていた家、すなわち居場所をなくした歪な者達(マンイーター、ブレイドイーター)の拠り所となろうとした意図もあったのかもしれない。
・ブレイドイーターについて
ラウラの因縁の相手であるゴウトは、マルベーニがコアクリスタルのブローカーをさせていた手先。シンに返り討ちに遭い両腕まで失うが、アーケディアの僧兵に拾われ、ブレイドイーターにされる。
神暦3564年においてブレイドイーターは試作段階であったようだ。また、ミノチの台詞からしてマンイーターもほぼ同時期に発案されたものと思われる。
ブレイドイーターは失敗すれば組織が崩壊して死ぬという。
では何故ジークがサイカのコアを移植された際失敗しなかったか、であるが、これは既に自分と同調しているブレイドのコアクリスタルを移植したからではないかと推測される。
DLCのスタニフ、また本編でのニアの発言より、ブレイドの細胞はドライバーの細胞(遺伝子情報)を元に構成していると思われる。すなわち同調済みのブレイドならば細胞がドライバーと近い(または同質)為拒絶反応は起きず、ジークは生き延びたのではないか。
・アーケディアについて
アーケディアの開祖はモルディナートという人物。
アーケディアには元々「天の聖杯」という名の至宝(オブジェ)があったようだ。神像の類いのものと思われるその至宝は、モルディナートが天から受けた啓示と、神の意向を模したものだという。メツはそれを破壊し、楽園からもたらされた自分こそが「天の聖杯」であると発言した。
これがメツとヒカリの二人の呼び名の由来となる。また、マスターブレイドという呼称はマルベーニの言葉からメツが取ったもの。
アーケディアのルーツであるユーディキウムは、モルスの地に残っていた文明の残滓を拾って利用していた。アーケディアはその遺物から、人とブレイドの成り立ち、そしてブレイドが巨神獣へと進化(変化)することを知るに至った。
アーケディアはメツの離反・暴走を汚点と考えているらしく、援軍を派兵させる際にもわざわざアヴァリティアを経由していたらしい。この事から、イーラへ依頼された天の聖杯同調も極秘裏だったのではないかと推測される。
戦後スタニフと結託していたマルベーニは法王ラダリアと枢機卿バルトリッチを暗殺し、第108代法王となった。
そして巨神獣兵器やマンイーターと思しきブレイド、ブレイドイーター(の化け物)を用いて スペランザに避難していたイーラの生き残りを襲った。
ゼッタとも結託したようだったが、詳しい関係は不明。この後ゼッタはアーケディアの支援を受け、ルクスリアに移り住んで王となったと思われる。
協力関係を築いたと仄めかされる描写から、ルクスリアは建国後にアーケディアから強請りを受けたのではなく、元々「エネルギー施策に重要なコアチップ献納」を条件として建国の助力とルクスリアの成り立ちの秘匿を依頼した、と推測する方が妥当かもしれない。
なおイーラの「巨神獣」が沈んだのはメツとヒカリの力であり、この件について言えばアーケディアは直接手を下していない。アーケディアが行ったのはスペランザへ避難していたイーラの民や抵抗軍の殲滅、そしてそこにいるであろう天の聖杯の抹殺計画である。(だが天の聖杯のホムラはアデルとともにイーラの生き残り達とは別行動をしていた。その為彼女はアーケディアの手から逃れて長い眠りにつき、レックスとの出会いを果たす。)
・500年前のスペルビア帝国とユーゴについて
ユーゴには兄がおり、本来は兄が皇帝継承権を持っていたが、彼はドライバー資質がなかった為皇帝にならず、代わりに帝国の宝珠と同調したユーゴが皇帝となった。
スペルビアでは皇帝であれ優れた「ドライバー」でなくてはならないという考えが是とされている。
すなわち「皇帝(の資質)=帝国の宝珠のドライバー」。男性であり、なおかつドライバー資質があり、帝国の宝珠と同調できた者が皇帝となる、という慣例が、500年前の時点で生まれていた。
またユーゴ曰く、「皇帝には帝国の至宝たるワダツミとカグツチのドライバー足り得ることが求められている」。元々はカグツチとワダツミ の両方と同調するのがしきたりだったと思われる。
だが神暦4058年の皇帝であるネフェルが同調しているのはワダツミのみであり、メレフもカグツチのドライバーのままである。また本編での戦闘後掛け合いによれば、「ワダツミとカグツチが共に並び戦う」ことは長らく行われていなかったようである。この大戦によるユーゴの死が原因かは定かではないが、何らかの理由により皇帝と同調するのは宝珠両名ではなく、片方だけになったのではないかとも考えられる。
スペルビアは新興国でありながら、この時点で既にアルストいちの大国だったようだが、何をもってそこまでの急成長を遂げたのかは不明である。
チルソネスカシュのクエストより、本編最終盤のメツの地表攻撃で壊滅する港湾都市チルソネスは、500年前からスペルビアに存在した歴史のある街だったと分かる。
スペルビアの巨神獣は500年前の時点で衰退の兆候が存在していた。当時のスペルビア帝国は新興国ではあるが、国土となった巨神獣自体は既に長く生きていたのだと思われる。
・スペルビア帝国とスペルビアの成り立ち
イーラの庭園に関する話題で、スペルビアについても触れられる。イーラはアデル達の代の時点で建国から1000年以上経過しており、なおかつ庭園を作ったのは初代イーラ王である。
そのまま文字通りに受け取ってしまうとその頃に3564年時点で新興国のはずのスペルビア「帝国」が1000年以上前のイーラと同時に存在することになり、齟齬が発生してしまう。ここで改めてスペルビア帝国の成り立ちを振り返ってみる。
スペルビア帝国は「諸国を併呑して」出来た国である。いくつかの国が飲み込まれて出来ており、国章の四つの印も恐らくそれを表しているのではないかと思われる。
このことから推測するに、元々あの巨神獣(とその近隣)にあったいくつかの中に「スペルビア」という国があったのではないか。
つまり周辺諸国を併呑して「帝国」として生まれたのが500〜600年ほど前の話で、その前から街なり小国なりただの地名なりとして「スペルビア」は存在した——と考えるのが最も妥当であろう。
皇帝であるユーゴはDLC最終盤にてアデルをかばい、その命を落とす。その為メレフとネフェルは厳密に言えばユーゴの子孫ではない。
恐らくこの後のスペルビア帝国はユーゴの兄の血統が引き継ぐことになるが、宝珠と同調しないと皇帝となることは出来ない事を踏まえると、ユーゴの兄自身は皇帝にはならず、他の「男性の皇族」が帝位についた可能性もある。
・ユーゴとアデルの境遇の共通点について
ユーゴは権勢を振るうことを快く思っていない。権力に興味を持たないにもかかわらず強力なブレイドのドライバーとなり、国を背負う運命となった(なろうとしている)ことを指しているものと思われる。
・インヴィディアについて
当時のインヴィディアは「ブレイドはドライバーに従うもの(格下の存在)」という考えが一般的であった。
また「歴史と文化が花開く国」とも言われている。この頃から国名は「インヴィディア烈王国」である。
本編中ではスペルビアが最も古い歴史を持つと言われている為、あえて理由を挙げるならば、「セーロスア公によって統治されたインヴィディア烈王国」より「スペルビア帝国」の歴史が長い——といったところであろうか。
500年前から美容機器などでも有名で、この頃から芸術や美を良しとする国であったと推測される。故にミノチは戦後フォンス・マイムに身を置いたのではないかと考えられる。
・ノポン族について
フォルティスやアヴァリティア、ピグネラートルなどといった商会の名が挙げられていることから、ノポン商会は500年前から既にアルストの流通において重要な位置を占めていたものと思われる。
またアウルリウム他で見られるノポンは皆近代ノポン語(「〜も」の語尾」)を使用しているが、アレッタ封印窟にいるノポン・チュウセンニンは「〜も」の語尾を使用しない。このことからこのノポン・チュウセンニンはノポン商会が生まれる遥か以前からアレッタ封印窟の奥で過ごしていたものと思われる。
商店街のクエストで、商工会長のモルモーから「このフォルミード商店街をピグネラートル商会を超える一番の商業都市にしてみせる」というコメントを聞くことができる。
このことから、この時のピグネラートルはノポン商会で最も勢力が大きかったのではないかと推測される。
・カグツチやワダツミのフィールドスキルの変化について
ブレイドは同調したドライバーの影響を受けるとされている。またアデル曰く、ブレイドも少しずつ人間に寄り添うように変化をしているのだという。
カグツチやワダツミのフィールドスキル構成が変わっているのは恐らくこれが理由ではないかと思われる。例えばユーゴと同調したカグツチはユーゴの影響を受けるということになる。カグツチが開錠を持っているのは、機械技術を持っていたユーゴとの同調によって獲得した能力なのかもしれない。
・シヤについて
メツによって一夜にして壊滅させられたシヤだが、統制を失った残党兵達は各地に散らばり略奪行為などを行なっている。
イーラもスペルビアもそれをなるべく保護出来ればとは考えているが、やむなく処理しなくてはならない事態になっている。
ブラッディロブスターはシヤお抱えの傭兵団。本編でヴァサラがかつて所属していた組織と同名であり、同じものであるならば相当の歴史をもつ犯罪組織であることになる。
・グーラについて
大戦時はまだ共和国だった。豊かな資源を持つ巨神獣である為、この当時からスペルビアやシヤなど他国の干渉を受けていたようだ。
グーラの「白い椅子」は500年前から存在したグーラ最大の都市で、深奥の古森林の向こうにある。
グーラの一部の地名は、イーラの冒険者リタが由来となっている。(リタのオアシス(リタ)、ザインの標木(ザイン))
ザインはイーラ王都アウルリウムで大工をしている人物で、リタの父親である。また、ラスカム港の御座船にはスペルビア帝国の「バズアイン見張り塔」の由来と思われる「バズアイン」というスペルビア兵の狙撃手がいる。
なお「ミーネス」という人物もいるが、インヴィディアの「ミーネス段丘」と関係があるかは不明。
・イーラについて
争いの火種も少なく、飢饉や伝染病に苦しむこともない、グーラに似て穏やかな土地である。それにもかかわらずグーラのように他国から狙われないのは、イーラがもつ強大な軍事力によるものと思われる。
本編ではスペルビアで採れるコレクションアイテムである「ラブラズベリー」が存在した。イーラと本編スペルビアでは明らかに自然環境が違いすぎるにもかかわらず同じものが採れることから、ラブラズベリーは生命力の強い植物なのだと思われる。
リベラリタスは元々イーラとの交流のあった地、もしくはイーラ領の一部だったのではないかと思われる。故にリベラリタスで採取できる「スタミ・ナス」の瓶詰めがイーラに取り寄せられていたり、イーラ王家の霊洞である「エルピス霊洞」がリベラリタスに存在するのであろう。
イーラにも巨神獣を利用した船は存在しており、むしろ当時イーラにおいての船も巨神獣を利用したものが主流であった。
しかしイーラの技術を結集させた最新鋭の船の中には、まだ一般公開されていないものがあったと示唆されている。イーラの巨神獣を使用しない船(古代船、マルサネス、モノケロス)はこれらのことと思われる。
当時のイーラ王はアデルの功績を見て、アデルこそが次期王に相応しいのではないかと考えていた。なお彼は自身を凡俗とも考えていたようだが、当時のイーラ王自身も人望は厚く、その穏健な人柄が支持を得ていた。
彼は武官の出で、卓越した統率力で多くの戦果を挙げたものの、ある時期から穏健派に転向する。
イーラの技術は全てにおいて高水準で、高層の建物の建築も容易だという。イーラの庭園は初代イーラ王が設計したもの。その美しい王宮の建設には多くのドライバーとブレイドが携わった。作られた当時は、スペルビアをはじめ各国が技術革命を迎え時代の変化に揺れていたが、そのような時だからこそ建造時のイーラ王は建設を通じてイーラの在り方を内外に示したという。
聖杯大戦時のイーラは本来の形ではなく、休眠した状態である。
イーラはその巨神獣のもつ強大な力で千年もの間アルストに君臨していたが、アレクトス一世の治世下でその力は封印され今の形となった。なお、アレクトス一世がいつ頃のイーラ王であったかは不明。
イーラでは巨神獣の偉大さを敬い、信仰の対象としているが、特別な儀式や決めごとはない。人間と巨神獣、ブレイドの垣根を越え生命を慈しむという考えが信じられている。
イーラの胎には寿命を迎えたブレイドが巨神獣へと生まれ変わる為に訪れる場所がある。
セイリュウも800年ほど前にその場所で生まれた、イーラ生まれの巨神獣である。セイリュウがイーラに似た姿(首長竜のような身体、背中の二枚の翼など)であるのは、セイリュウがイーラ生まれなのも関係あるのかもしれない。またセイリュウの年齢は、聖杯大戦時に800歳なので本編だとおよそ1300歳程度であると思われる。
寿命を迎えたブレイドはドライバーの元から離れ、記憶を失って巨神獣へと変わる。
カグツチはここでその進化の過程を知ったが、日記には書き残していなかったようだ。
巨神獣やブレイドとの共存に消極的だった「反アデル派」は元から存在していたが、作中でメツの王都襲撃を受けたことによりイーラ内でも「共存は古い考えである。ブレイドは人が管理し統制していかなければならない存在」と考える者が増えたようだ。
これを利用したのがゼッタ達だと思われる。
文化、生物など
・イーラの料理は豪快かつ繊細
・王都の工房で作られるガラスはダナ砂漠の石や砂を材料としている。
・ガラスペンが独自の道具として存在する。
・イーラヴィオルという楽器がある。弦が少なく扱いやすい楽器。巨神獣に感謝を捧げる特別な行事で演奏されることもある。
・王都の歴史は古く、老舗も多い。
・イーラのダナ砂漠にいるダナスカラーという昆虫は、特効薬や高級な香水にも使われる希少な虫。
・虹色の花はかつてイーラ中で見られるポピュラーな花だったが、環境の変化などにより激減してしまった。現在は一部の秘境でのみ見ることができる。
・「砂漠熱」という真菌性の風土病が存在する。人間には致命的な病だが、抗真菌薬があれば問題ないようだ。
・「黄金の国」というDLC名は、「かつて絶大な力と栄華を誇っていた、失われた国」という、比喩を込めて付けられたのではないか。
・メツ、マルベーニについて
マルベーニは「辺境を平定し、遠征軍の雄と謳われた」ことがある。恐らくこれはまだメツがマルベーニの元に従っていた頃の話だと思われる。アデルとヒカリの同調が作中の一年前であることから、3563年にはメツはマルベーニの元から去っていたのではないかと推測される。
メツのデバイスには、それぞれに大型巨神獣に匹敵するエーテルエネルギーが蓄えられている。オープニングで攻撃しているデバイスはセイレーンである。また最終戦でメツが召喚するデバイスはタイタン。どちらも体色が黒に近いものに変化している。操作権限をもつものを表して体色が変化していると思われる。セイレーンは無人での操作も可能だが、メツやヒカリが搭乗して直接操作することもできる。
天の聖杯は能力自体は同じものである。しかしメツは大量にデバイスを行使しているが、ヒカリは彼のような多用を避けている。これはイーラを破壊してしまうのを防ぐ為であったのではないかと思われる。また、アデルとの同調ではヒカリは真の力を引き出せていなかったことから、その時点ではメツの方が能力の出力可能な度合いが上だった——とも考えられる。
ミノチは作中の2年前(3562年)にマルベーニと離別しており、それ以降顔を合わせていない。
マルベーニはミノチとの離別後に世界樹を登って聖杯のコアを手に入れた。つまり聖杯がアルストにもたらされたのは神暦3562年ということとなる。
台詞やヒカリとアデルの会話からして、ミノチはマルベーニの絶望にその時気づいていたものと思われる。また、ミノチはマルベーニと決別したことに後悔の念を持っているらしき描写がある。例えば「離れずにいれば彼に何か出来たのではないか」、「決別した後マルベーニが世界樹を登ることを止められたのではないか」といったことを考えているのかもしれない。
メツはヒカリと違い、一人でも力を発揮できると見える節がある(作中冒頭でも、ヒカリはあくまで一人では行動せずアデルとともにいる)。メツが思う通り、好き勝手に力を振るっていてもマルベーニに何の影響も及ぼさないのは、マルベーニがメツに「恐れ」を抱いておらず、むしろその力の行使(ひいてはそれによる世界の破壊)を良しとしているからではないか。
また、何故マルベーニはヒカリと同調せず、他国であるイーラ(の者であるアデル)と同調させたのかについて。
マルベーニの言った「その者にメツを」という言葉は、「メツを倒させること」自体が目的ではなく、メツを倒させるという建前を用意し、そう仕向ける事で「戦乱を拡大させること」を本当の目的としていたのではないか。
また、イーラへともたらし同調を依頼したのは、強大な力を有する「大国イーラの王族」を戦いの旗印とすることで、アデル(イーラの王族)に人心を掌握させようとしたのかもしれない。すなわち同調さえできれば誰でも良かったのではないかとも見られる為、資格さえあればアデルではなくゼッタでも構わなかったものと思われる。(2018/09/28追記:コメントにて、マルベーニはヒカリと「同調できなかった」と明示されているとのご指摘をいただきました。(第8話終盤ムービー等)内容の修正を検討中です。ご指摘ありがとうございます。)
マルベーニはヒカリとの同調を望んだが、彼女(のコア)はそれを拒絶した。彼がいつヒカリのコアクリスタルと同調を試みたのかは不明であるが、いずれにせよ天の聖杯を両方目覚めさせようとしていたことには変わりない。
・抵抗軍について
アデルが率いている、戦で住処を失った人や敗残兵の寄り合い所帯。インヴィディアで旗揚げされた。
決起されて間もない組織。恐らくアデルとヒカリの同調直後に生まれたものだと考えられる。規模は小さいものの、イーラ人だけでなくグーラ、インヴィディア、スペルビアと様々な人種が参加している。また、アデルは彼らから強い信頼を得ている。
アデルが抵抗軍から離れたのは、天の聖杯の力を上手く扱えるか不安に思っていた為。アデルは彼らを傷つけないよう、インヴィディア王を信頼して抵抗軍を任せ、彼らはそのままインヴィディアに集まっていたようだ。しかしインヴィディアは彼らを吸収して自国防衛の外人部隊として活用しようとし、イーラへと向かわされることとなる。アデルはそのことにショックを受けながらも、それでも彼らを守るために自分の領地であるアレッタへと誘導させた。
大戦後、抵抗軍はスペランザという場所に避難する。そしてアデルは「落ち着いたらリベラリタスに来るように」と抵抗軍への伝言をラウラへと依頼するが、ラウラが彼らの避難場所についてすぐアーケディアによる殲滅が行われ、彼らはなすすべなく壊滅する。
・生態系の変化について
本編グーラだとエピックのコレクションアイテムであるサチベリアは、黄金の国ではコモンとなっている。
他にもフィールド上にモスーンやタスマンの姿が見られたり、神暦4058年には登場しない「とんがらトマト」といったコレクションアイテムが存在することから、3564年と4058年とではグーラの生態系に変化が生じているものと思われる。
またリベラリタスのモンスターがイーラに現れ始めているのは、メツによる破壊で生態系に影響が出た為。
作中ではリベラリタスとイーラが接近する時期だったらしく、距離の近くなったイーラの生物がリベラリタスに、リベラリタスの生物がイーラへと流れた。
・本編5話
シンはファンのコアを貫き、彼女を殺す。
彼が最も許せないマルベーニのブレイドとなったファン(カスミ)を、殺すことで彼の元から解放しているのだろう。
この時ファンは笑顔を見せる。彼がハイベル村に訪れた時懐かしさを覚えたように、ファン(カスミ)もまたシンや500年前の記憶を思い出し、彼に感謝の意を示したのかもしれない。
・シンとメツについて
エンディング後シンは沈んだイーラのハイベル村跡に訪れ、その後モノケロスの姿が現れる。
この時点でメツと出会った後なのだろうと推測される。戦いの後雲海に落ちたメツは、偶然発見したモノケロスに乗り込み生きながらえたのではないかと思われる。
彼らがどのような思いを抱き行動を共にするに至ったかは、まだ自分の中で結論が出ていない為、不本意ながら省略させていただく。
だがマルベーニの絶望の体現ともいえる存在であったメツが最終戦において彼自身の意思とも見えるものを見せる(ただ世界を破壊しようとするのをやめ、ヒカリとの戦いを「楽しもう」とするなど)こと、そしてイーラが滅びても希望を抱いて歩もうとしていたシンがラウラを失い、マンイーターとなったこと。この二点は彼らについて考える点で重要な要素となってくるのではないかと考える。
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その他、細かな点について
・クリア時の状態
難易度はノーマル。プレイ時間は26:18ほどで、レベルは全員55。ヒトノワはレベル5で、8人ほど残っていた。
コンプリートまでには約40時間弱。レベルは全員99。
・戦闘
本編のものよりテンポが速い印象。常にボールメーカー状態みたいなものだからか。
敵もユニークや終盤雑魚などが属性覚醒を使ってくるので、まごまごしているとチェインアタックのタイミングを逃してあっさり崩れる、なんて事が間々あった。
それでも1週目ノーマルで黄金獣含む全ユニーク討伐は達成できたので、本編のチャレンジバトルよりかは優しい。
アレンジされつつも本編の知識が活かせる戦闘はなかなか楽しかった。
良かったところ、改善点など
・tipsの追加(結局読み返すことはなかったものの、読み返せるという安心感が嬉しい)
・敵や採集ポイントから出てきたアイテムが水に浮く(神仕様変更。本編にも適用してほしい)
・名を冠する者の墓がマップ上に表示される(神仕様変更。本編にも適用してほしい)
・フィールドスキルを失敗した時、ドライバー達から台詞が聞ける(「気にしないで」「また頑張ればいいよ」といったもの)。ただしキズナリングを全員コンプリートしてしまうと二度と聞けないので、そこだけ惜しい気がする。かといってどうしようもないのだが。
・信頼度、WPなどが比較的たまりやすいところ。アイテム連打などをしなくても終盤にはだいたい埋まっている。
・ドライバーとブレイド達自体がスイッチするバトル(この方が一体感があって良かった)。
でもこの一体感は各チームごと、という印象がやや強め。これはこれで仲よさそうで良し。あと助け起こしが各キャラに用意されているのも細かい。
・台詞周り
NPCの台詞がとても細かい。クエストをクリアするごとに次々と変化していき、ラウラ達自身に向けた台詞も増えていく(「アデル様だ、ラウラ様だ」「応援しています」等)のがいいと思った。イーラ(やグーラ)の民が主人公達のことを見てくれていると思えたし、そしてこれを踏まえた上でのバッドエンド、本編なのだと考えるとまた心が揺さぶられる。
それから、大人が多いせいか本編よりもギャグが落ち着いていて読みやすい。
主人公はシンではあるが、シン自身は比較的寡黙であり、なおかつ物語の舞台であるイーラ王子のアデルがよく喋るので、アデルが主人公のような気がしてきてしまう。だがこれは本編でメレフの台詞が多かったのと近い理由(地位があり、いざという時立場を利用した行動をとることが可能な人物であること)なのだろう。
・キズナリング
アデルのキズナリングの構成はジークとほぼ同じ。ラウラはレックスとほぼ同じ構成になっている。
ユーゴもメレフと似ており、だいたい半分程度が同じ。ならもう半分はトラと似ているのでは?と思って確認してみたが、トラとはものの見事に被っていない。ちなみにニアとも被ってない。
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・ストーリーに関して
本当に、DLCと呼ぶのが惜しいくらい良かった。なんと言えばいいんだろうかと未だにまとまりがつかない。
だが、500年前の聖杯大戦が「英雄アデルは天の聖杯とともにメツを斃しました、めでたしめでたし」でないことがはっきりと分かったのは本当に良かった。その当時がいかに酷い有様だったか、どうしてイーラは滅んだか。
……ただ一つだけ不満を挙げるならば、主戦場という設定だったはずのユーディキウム(テンペランティア)が殆ど出てこなかったこと。メツとヒカリが沈めたという話なのだから、最後の最後だけでいいからユーディキウムも映って、飛び回ってるセイレーンに被弾して沈むところがあったら良かったな、と思った。それ以外は概ね満足。
この「黄金の国イーラ」のストーリーが完膚なきまでの絶望として仕上げられてるのは本当に褒められるべき点だと思う。
「こうすれば上手くいった」みたいな半端な抜け道が用意されていないところこそ、このDLCの良いところ。
どんな条件が揃っていれば、あの時全てが上手くいったのか。どうすればイーラは沈まずに済んだ?ミルトが、ユーゴが死なずに済んだ?自分なりに色々考えてみたけれど、そんなものは『ない』と結論づけるに至った。
アデルやラウラ、ユーゴ達はアルストの危機の為に全力を尽くした。
彼らに出来る全てをやって、その結果があれなのだ。あれが最上で最善の結果なのだ。
あれ以上何が出来たろう?
アデルがヒカリを受け入れていれば?
封印の守りが固ければ?
もっと戦力があれば?
アデルとヒカリの同調が、戦争の為でなければ?
アデルが「天の聖杯」に恐れを抱いていなければ?
ヒカリが暴走しなければ?
それは結果論に過ぎない。
そのような想定は誰もが行うだろうが、やはりそれは不可能なことだと思う。
繰り返すが、あれが最善・最上の結果だった、どうしようもなかったのだと思う。
メツ(ひいてはヒカリ、天の聖杯)がどうしようもなく強大だった、ただそれだけが理由であり、「もしも」と導き出されるものは全て不可能だった事で、その責はシンにもラウラにも、アデルにもユーゴにもない。
アルスト全土が傷を受けた大戦は、こうなるしかなかったのだ。
だからこそ、本編をもう一回遊びたくなる。
あの過去が提示されたからこそ、本編の終わりが素敵なものだったと再認識できる。
何故アデルではヒカリの真のドライバーたり得なかったのか。何故レックスこそが、世界を救うに至ったのか。それはこの二つの物語が合わさってこそ紐解かれる真実なのだろう。
「良かった」と呼ぶのが憚られるストーリーではあったが、とても素晴らしかったということだけは声を大にして言いたい。
本編とこのDLC、どちらも遊べて良かった。